本校は、平成15年度に文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受け、令和5年度からは【先導的改革型】の指定校として研究開発に取り組んでいます。この事業は、先進的な理数系教育や文理融合領域に関する研究開発を実施している高等学校等をスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定し支援することを通じて、将来のイノベーションの創出を担う科学技術人材の育成を図る」(文部科学省ホームページより)ものです。

※先導的改革型:科学技術人材育成におけるシステム上の課題を自ら設定し、当該課題に挑戦する意欲的な研究開発を実施するもの

高志高校SSHの概要

本県唯一の公立併設型中高一貫教育校として、中学生、内進生、高入生という異なる集団が同じ空間で学ぶ本校の特徴を生かし、多様な視点や発想を交流し、互いに深く学び合う空間「Koshi Global Academy Campus(Koshi GAC:Koshi学区)」を創生してきました。

先導Ⅰ期の研究開発では「未来を創造する探究力」の育成を課題に掲げました。これまで以上に、多様な考えを持った他者や専門的知識を持った研究者と積極的に関わりコラボレーションしながら、異なる視点やスキルを活かして課題に取り組んだり、突出した能力を持った生徒がその能力を存分に発揮したりできるよう、内進生と高入生が協働し切磋琢磨できる環境作りや研究支援システム構築に取り組むとともに、研究開発の成果を県内外の他校に発信・普及していきます。

先導Ⅰ期 SSH研究開発の目標

  1. 大学・研究機関・企業・他校等との連携・支援ネットワークを拡充します。このネットワークを活用した個々の研究分野・テーマに応じる研究支援システムを構築することで、質の高い課題研究を実現させ、高度な科学的探究力や豊かな創造性を育成します。
  2. 第Ⅳ期で完成させた「課題研究ノート」、「課題研究チェックリスト」、「全国SSH校課題研究テーマリスト」等の効果的な活用法を研究し、校内での実践、他校への普及を行います。また、教育プログラム「KoA-L(Koshi Academic Learning)」を継続・発展させ、中学生、内進生、高入生という多様な視点や発想を持った集団が切磋琢磨して学ぶ本校の特徴を活かし、課題解決学習を学校教育全体で推進します。
  3. 本校独自の調査「高志高校生徒アセスメント(KSA)」や「探究活動の各フェーズにおけるルーブリック」等の効果的な活用方法を研究し、校内での実践、他校への普及を行います。
  4. 福井県教育委員会と共催する「福井県合同課題研究発表会」により、研究開発の取組成果を県内に発信するとともに、「探究活動に関する教員研修会」も共催し、各学校の課題研究の取組や指導方法等についての情報交換や研修等を行い、県内の探究活動の充実・発展を目指します。

高志高校の探究学習

すべての教科・科目で「探究的な学び」や「創造的な視点」を取り入れた学習を推進し、多様な能力を持った生徒が他者と協働しながら、伸び伸びと課題解決に向けて取り組める環境作りを行っています。

令和4年度入学生から、高入生(高校から本校に進学した生徒)・内進生(高志中学校から進学した生徒)ともに全員が「探究創造科」となり、課題研究を行う「KoA」の授業を混合履修としました。さらに令和5年度からは、高入生・内進生の混合クラス編成とすることで、より一層多様な視点や発想を交流しながら、高校3年間をかけて課題研究に取り組んでいきます。

①課題研究の目標

  • 福井や我が国、世界の課題について自ら設定したテーマに対し科学的にアプローチし、協働して課題解決を図ることで、課題解決カ・探究カ・情報処理能力・表現力・プレゼンテーション能力・コミュニケーション能力等を養います。
  • 横断的・総合的に研究を深化・発展させ、地域や国内外に発信・提案する活動を通して、情報収集・分析・論理的思考を行う力や、考えを的確に表現し議論し理解し合う能力を高めます。
  • 福井の自然や産業に根ざした視点で現代社会における様々な課題を見いだし、調べ議論する活動を通して、幅広い知識や豊かな感性を育みます。

②課題研究の実施方法

  • 生徒自らが積極的に活用できる研究支援システムを構築することにより、各グループの研究分野・テーマ、研究の進捗状況に応じた連携・支援の充実を図っています。
  • 課題研究を進める中で、学術論文等の高いレベルの研究論文を積極的に活用することにより、研究への理解を深め、新たな課題を見つける力を高めていきます。
  • 多様な能力を持った生徒が他者と協働しながら、課題解決に向けて取り組める環境を作ることで、異なる立場からの批判的議論を積み重ねて研究を深化させるために必要な3つの力「批判的思考力」「協働的思考力」「創造的思考力」を伸長させていきます。

これらを通して、将来にわたって主体的・積極的に課題解決に取り組む資質能力を育成するとともに、自己の将来像についての思索を深め、国際社会および地域社会のリーダーとして活躍しようとする態度を養います。

SSHの活動報告